気管切開を決断した話

👧🏻は、5ヶ月で気管切開をしています。

通常、リンパ管腫で呼吸障害があると、生後すぐに気管切開をするそうですが、👧🏻は5ヶ月まで、ブレオマイシンの治療をして、経過を見ていました。

気管を一周するようにリンパ管腫があるため、手術はとても難しく、少しでも腫れれば挿管ができなくなる可能性がありました。いつも危険と隣り合わせでした。

なぜ、5ヶ月まで気管切開をしなかったのかというと、ブレオマイシンの効果に期待ができたからです。

気管切開をすると、日常生活で医療的ケアが必要になります。気管切開をしなくて済む可能性があるなら、それに越したことはありません。

先生、看護師さん、私たち夫婦、そして👧🏻が、気管切開なしで退院するという目標を持って、とても頑張りました。

手術をして、抜管する。これを何度か繰り返しました。

初めは良くても、時間が経つと努力呼吸になってしまい、挿管することになり、そのたびに悔しい思いをしました。

挿管チューブのままの生活は、抜管しないように身体抑制が必要だったり、沐浴や抱っこは管が抜けるおそれがあるため、簡単にはできません。

そのままでは、発達に影響してしまうため、いつまでも挿管チューブで生活するというわけにはいかないのです。

👧🏻は、手術や抜管を繰り返しながら、4ヶ月になりました。

私たち夫婦も“次が最後のチャンス”と、何となく察しました。

そして、先生からも気管切開の選択について、「次、うまくいかなかったら、月齢的にも気管切開が適切だと思います」と話がありました。

あくまでも気管切開は、生きていくための選択。それは十分に分かっていました。

でも、この頃は声を出し始めたばかり。楽しそうにお話しする👧🏻を見るのが大好きでした。

可愛くて、少し掠れたような、特徴のある声が聞けなくなってしまう。

そう考えるととても辛く、できれば気管切開したくないと思っていました。

迎えた、最後の抜管。全員がうまくいくことを願っていました。

抜管して、たくさんのことをしました。病院の敷地内をお散歩したり、たくさん抱っこしたり、沐浴をしたり。

とても意味のある、濃い時間でした。

👧🏻は、1日目、2日目、3日目も順調でした。

しかし、1週間が経つ頃から努力呼吸が見られるようになりました。

苦しそうで、息をするたびに大きくへこむお腹を見ると、気管切開という選択が現実的に思えてきました。

もう頑張らなくていい、気管切開をして、少しでも早く退院させてあげたい。

夫婦で考えは一致していました。

苦しい呼吸をしながらも、「頑張ってるよ！」と言ってるかのように笑顔を見せてくれる👧🏻は、本当に強く、誇りに思いました。

苦しいのは私たちじゃない、👧🏻が気管切開を望んでいる、と思い、気管切開の手術をお願いしました。

気管切開、手術当日。朝一の手術でした。

「なんで、今日は早く面会に来たの？」と言いたそうな顔で見つめてきた👧🏻。何かあることを察したのか、少し不安そうにも見えました。

最後の声が出せる時間、頑なに声を出さない👧🏻。迫ってくる手術の時間。

絶対に笑顔で送り出そうと決めていましたが、やっぱり無理で、涙が止まらなくなりました。

行けるところまで一緒に行き、バイバイの時。

「はっくしょん！！！」と、くしゃみをしました。

最後に聞かせてくれたのが、くしゃみというところが👧🏻らしいなと。

きっと泣いていた私を元気づけようとしてくれたのだと思います。

優しくて、強い、自慢の娘です。

気管切開をするまで、5ヶ月。

もっと早く気管切開をしていれば、もっと早く退院できたかもしれません。

でも、この5ヶ月が私たちにとって、忘れられない時間になりました。

👧🏻の声が聞けたのも、気管切開をすぐにしなかったからだと思います。

👧🏻や私たち夫婦だけではなく、先生、看護師さん、全員が納得して、気管切開を選択することができてよかったと思っています。

とても意味のある、大事な5ヶ月があったからこそ、今を後悔せずに過ごせています。

最近は、スピーチバルブを使って、またお話しできるように練習中です。

気管切開したからと言って、この先声が全く聞けなくなるわけではないし、スピーチバルブを使わなくても、話せるようになる子がいるそうです。

気管切開があることでケアは増えるけど、それが👧🏻にとっては当たり前で、別に特別なことではありません。

“気管切開をしても、明るい未来があるよ！”と、あの時の私に言ってあげたいです。